エディターとは何か #前編

こんにちは!REASNOT編集長の紅葉です。

前回は、『アーティスト活動で成功する方法(全7章完結)』をお読みいただきありがとうございました。今回からは、タイトル通り『エディターとは何か』を語ってまいります。

※毎月8日更新、全3回を予定しています。フォローだけでも歓迎です!

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まず、今回の連載を始めるに至った理由をご説明します。

私は、2019年のREASNOT創刊時から、「エディター&シンガー(ポエマー)」という肩書を名乗ってきました。

後者は、まぁ、時と場合によって変わりますが、前者は固定です。

私の現在やりたいこと、やっていることを表すのは「エディター」という言葉しかありませんし、過去を振り返っても生粋のエディター気質ですし、私が未来に思い描く夢はエディターとして叶えたいものです。

しかし。

いくら「エディターです」と名乗っても、「ライターの紅葉さんですね」と言われてしまうことが、非常に多いのです。

「違うんです!いや広義には違わないけど!エディターなんです!」

……とお伝えしたいのですが、その場で語り始めると長くなりそうなので、いつも我慢しています。

この鬱憤を晴らしたい!というのが、今回の連載の目的です。

非常に個人的な理由で、申し訳ありません。笑

 

いや、でも、ほんとに。

REASNOTでは、出版(メディア)業界以外の方々と関わることがほとんどなので、ニュアンスが伝わらないのは当然かもしれません。それにしたって、この3年弱の間で、ちゃんとエディターとライターの職域を理解した上で、私をエディター扱いしてくれたひとは一人しかいませんでした。

 

ここからは、あくまで私の個人的な経験と見解に基づいて、「エディターとは何か」を訴えていきます。どうぞお楽しみください。

第1章 「ライター」と「Writer」

そもそも「ライター」は、「Writer」という英単語をカタカナ表記したものです。Weblio英和辞典によれば、「Writer」には「作家、著述家、記者、著者、作者」という意味があります。

つまり、「Writer」は、日本語における文筆業全体を表す英語です。

出版業界では、そのなかで特定の業務をこなす人々を「記者」「エディター(編集者)」「小説家」などと呼び分けます。その呼称の一つにも「ライター」があります。世間一般で「ライター」と聞いてパッと思い浮かぶのは、こちらの、特定の業務をこなす人々のことでしょう。

ここに私のストレスの原因があるわけです!!

n4d4d9db9f9c8_picture_pc_fff3a6e76d9171ec3a3c8f0c7eb1cc0f エディターとは何か #前編
Writer(文筆業)という言葉のイメージを図にしてみました。エディター、ライターなど、特定の仕事を行う様々な職業が内包されています。

私はたしかに「Writer」ですが、「ライター」ではありません!!

かつてはライターとして働いたこともありますし、今でも時と場合によってライター業務を行いますが、私の在りたい姿はエディターなのです!

……興味のない人にとっては、どうでもいいことかもしれませんが。。

たとえばですね。NMB48(AKB48)を2018年に卒業し、ギター弾き語りでアーティスト活動を始めた山本彩さんのことを、2021年現在は「アイドル」と呼ばないでしょう。今は「シンガーソングライター」と呼ぶでしょう。本人もそう呼ばれたいと考えていらっしゃることでしょう。

そういうことです!

(おそれおおくも大人気タレントさんを引き合いに出して申し訳ないです)

 

世の中には、いろんな人がいます。実態はコラムニストと呼ぶべき職についていても、通りの良さを重視して、「フリーライター」「WEBライター」等を自称する方々もいます。それはそれでいいと思います。

ただ、私は正しくエディターを名乗りたいし、できれば意味を理解した上で「エディターの紅葉さんですね」と呼ばれたいのです。

 

次の章からは、ライターとエディターそれぞれの職域と特徴、その違いにちついて語りたいと思います。

第2章 「ライター」の職域・特徴

「書く」職業には、いろんな名前がついています。

事件や事故の詳細を自ら調べて伝えるなら「記者」、自らが空想した世界を表現するなら「小説家」、日々の生活で思ったことや考えたことを綴るなら「コラムニスト」というように。

 

なぜ、文筆業全体を表す「Writer」とまったく同じ言葉である「ライター」が、特定の業務を行う人の呼称としても使われているのか?

これはもう、「ライター」の仕事は「ライター」としか言い表しようがないからだと思います。日本語で言えば「書き手」ですね。

ライターの職域は、「書いてほしいと頼まれたものを書く」ことです。それ以上でも以下でもありません。

ライターとは、「頼まれたものを書く」仕事!
【自由度】★★★ 【収益力】★★☆ 【充実度】★★☆

・主な就業形態…個人事業主、アルバイト
・意識する読み手…クライアント
・ライターに向いているひと…「書く」ことが大好きな人

私はこれまで、出版社等のメディアに正社員として勤務している、本質的な意味でのライターと出会ったことがありません。例外は、エディターがライターを兼務する場合などです。

ざっくりとですが、知り合ってきたライターの6割が個人事業主、4割は他に本業をもつ社会人や主婦、学生のアルバイトでした。

これは差別などではなく、純粋に、ライターが最もライターらしくいられる形態を追い求めた結果なのだと思います。

 

改めて、ライターの仕事は、クライアントから「〇〇について書いてくれ」と依頼を受け、書くことです。

依頼には、様々なパターンがあります。

「来月新発売のチョコレート菓子Aの宣伝を書いてくれ」という依頼があったとして、本物が家に届けば、実食して、感想をもとに書くでしょう。しかし本物は手元に来ず、商品仕様や写真等のデータだけがメールで送られてきて、ひたすら想像を膨らませて書くこともあるでしょう

「今が旬のギタリスト・B氏のインタビュー記事を書いてくれ」という依頼があったとして、「〇月〇日にX社の会議室でインタビューをしてくれ」と言われれば、足を運んで当人にインタビューし、その内容をもとに書くでしょう。しかしインタビュー自体は既に済んでおり、誰かとA氏が会話している音声データがメールで送られてきて、文字起こしを整える程度で書き終えることもあるでしょう。

 

一般的に、ライターは、書き方を選べません。「私は実物を食べないと商品レビューが書けないので、送ってください」とか「俺は自分でインタビューした相手の記事しか書けません」とか、希望することはできません。

厳密に言いますと、希望することは自由ですが、おそらくクライアントは聞き入れず「そうですか。じゃあ別のライターに依頼しますね」と、仕事の依頼を取り下げるだけです。

世の中には、同じ条件で書いてくれるライターは、たくさんいますから。

 

また、ライターは、多くの場合、「自分の書いた文章が最終的にどう使われるか」という部分に関与できません。

「チョコレート菓子Aについての記事を書いたのに、雑誌を見たら、商品名の部分だけ差し替えて、チョコレート菓子Bの記事として掲載されていた」とか「WEBメディアで公開されたギタリスト・B氏の記事を見たら、俺が書いたものより大幅に加筆修正されていた」とか、珍しくありません。

依頼された文章を書いて、納品したら、ライターの仕事は終わりなのです。予定とは違う場所に使われたり、修正されたりしても、意見を言える立場にないことがほとんどです。

 

もちろん、その道で長く働き、立派な実績をもつライターさんには、上記はあてはまりません。仕事について希望を述べ、過度な編集をされた場合は抗議し、「そんな風に自分の文章を使うなら、クレジットはしないでくれ。自分が書いたことにはしないでくれ」と、堂々たる態度でクライアントと渡り合う方もいらっしゃいます。

 

…と、いう風に紹介していくと、「ライターって業界内の地位が低いの?」と思われるかもしれません。

誤解を恐れずに言えば、そうです。

たとえば雑誌の記事を作る、「紙面の一ページを作る」という一つの仕事において、ライターは、最下層の作業を担当する職業になります。

 

これは、形のあるものづくり、一般的な商売と同じだと思います。

森を育てて、木を伐って、材料を集めるひとがいる。その木を加工して、板やねじを作るひとがいる。設計図を書く人がいる。設計図通りに組み立てるひとがいる。出来上がった品を綺麗に磨いて、梱包するひとがいる。商品を宣伝するひとがいる。お店で、実際に、お客さんに売るひとがいる。

もちろん木を伐った人も、それがわりばしになるか、タンスになるか、神社の柱になるかくらいは分かった上で伐るでしょうが……実際、伐って納品した後のことには、関わりませんよね。次の依頼があるのだから、次の木を伐らなきゃいけないもの。自分の仕事は、それだから。

 

メディアという形のない商品をあつかう世界において、虚空に漂う情報の海から素材を集め、「言葉」としてつかみとり、「文章」に落とし込む役割を担うのが、「ライター」です。

 

ライターという仕事に向いているのは、森を育て、木を伐り、材料を集めることに興味をもてるひとだと思います。

ただひたすら、書くことが好き。書くことを通じて、いろんな世界を見てみたい。そんな人におすすめしたい職業です。

逆に言えば、もっと別の次元で文章と関わりたいと思っているひとには、おすすめできない職業です。

 

もうひとつ、ライターが意識すべき読み手は、あくまでクライアントです。一般の読者にどう届くか、届けるかは、クライアントが工夫することです。

それを楽しめるかどうかも、重要だと思います。

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他の文筆業に比べると、ライターの仕事は玉石混交です。しかしフリーライターという立場は、各雑誌や新聞、WEBなどを渡り歩き、自分のペースで、やりたい仕事を探せます。自由度はピカイチです。

収入は案件ごとにバラつき、安定しないかもしれませんが、努力した分だけ稼ぐことができるでしょう。

面倒なクライアントにあたったり、理不尽な目にあったりもするけれど、同じくらい多くの「書く喜び」を味わえる仕事が「ライター」です!

第3章 「エディター」の職域・特徴

長くなったので、分割しました!よかったら下記からお読みください。

https://note.com/reasnot/n/n2c87d4910a46

おまけ

ここから先は、私がライターとして働くことになったきっかけや、駆け出しライター時代の思い出話を書きます。

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