私は、物語が好きです。
子どものころから沢山の本を読んできました。沢山のひとの話を聞いてきました。暇さえあれば、誰かの物語の続きや、誰も知らない物語の始まりを空想しています。
文章を書くことも好きです。よって、しばしば長編小説を書きます。
そしてほとんどの小説には、主題歌と劇中歌をつけています。
だって、良い物語は良い歌になるのだもの。
昔は、歌詞だけを書いていました。作曲方法を学んでからは、できるだけ、ちゃんと曲もつけるようにしてきました。
本日は、その流れで2019年に制作し、お披露目した『海と森と空の恋人』をご紹介します。
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この曲は、『あわせみ』という自作小説の劇中歌です。ざっくり小説のあらすじを紹介すると、バンドで有名になることを目指している少年(ドラマー)と、幼馴染?の少女のラブストーリーということになります。
彼らがこじれてしまった大きな要因は、少年の父と、少女の母の関係にあります。『海と森と空の恋人』は、その父と母をイメージした曲です。
どれだけ自分を嫌いでも、誰かを好きになることはできます。
むしろ自分が嫌いだからこそ、自分でない誰かが余計に輝いて見えるのかもしれません。
誰かを好きだと思うたびに「愛する貴方に選んでもらえたら、愛してもらえたら、どれだけ幸せかしら」と考える。
でも「愛する貴方には、私なんか釣り合わないわね」とも考える。
うっかり愛される機会を得られても「貴方のような素晴らしい人が私を愛してくれるなんて、おかしいわ。貴方が愛してくれた私は、きっと誤解の産物で、本当の私じゃないのよ」となってしまう。
悲しいなぁ。
だからやっぱり、誰かと幸せになるためには、自分を嫌いじゃいけない。ある程度は自分を好きでないと、上手くいかないのだと思います。
そんなふたりの物語を考えているころ、小学校の授業で習った『森は海の恋人』という言葉をふっと思い出して、作った歌です。