【SP08】初のホールワンマンライブで見せたい景色・鹿野レイ

関東を拠点に活躍するマルチリンガルシンガーソングライター・鹿野(かの)レイは、弊誌が19年夏に取材した際、「いつかホールワンマンライブをしたい」と語っていた。遂に2025年10月13日(月祝)、SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて夢を叶える日が来たことを喜ぶとともに、改めて意気込みを聞いた。

どれだけ否定されても、私が好きなものを信じる

鹿野にとって渋谷は、幼いころからよく遊びに来ていた、馴染み深い街だ。SHIBUYA PLEASURE PLEASUREの存在を知ったのは、2019年ごろだった。

シンガー友達の櫻ちゃんが、マウントレーニアホール(※編集部注:SHIBUYA PLEASURE PLEASUREが20年に改称する前の通称)でワンマンライブをしていたんです。『渋谷にこんな素敵なホールがあるんだ』と知って、『いつか私もここで歌ってみたい』と思いました」

当時の鹿野は、シンガーソングライターとしての活動が充実し始めてきたところだった。

「銀座街バスカーライブに出演させてもらえるようになって、定期的にライブへ来てくださるお客さんが増えました。そのおかげで『今日は集客が厳しいから、友達を呼ぼうかな』みたいなことを考えなくなりました。ライブの本数を増やして、関東以外へ歌いに行ったりもしました」

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初の遠征先は、名古屋だった。

「何のあてもなく勢いだけでライブに出たら、対バン相手の方を見に来ていたお客さんから、栄ミナミ音楽祭の存在を教えてもらいました。ぎりぎりエントリーが間に合って、音楽祭に出演できたことをきっかけに、海老沢茜ちゃん世憂子ちゃん(※編集部注:25年3月に世優子へ改名)に出会えたり、新しい世界が広がりました」

順風満帆そのものだったが、2020年、コロナ禍が世界を襲った。感染対策が強化されていく中で、世間一般はもちろん、特に音楽業界に対しては、厳しい自粛要請が行われた。

さらに鹿野は、東京2020夏季オリンピック関連事業に携わっていた。

「私は『海外の人に日本のことを知ってもらいたい』という気持ちがあって、ホテル業界や旅行業界で働いてきました。東京2020の開催が決まった時から、『ぜひ関わりたい』と思っていたので、ご縁があって嬉しかったです。19年秋ごろから関連事業で働いていたのですが、まさか、こんなことになるとは思いませんでした」

音楽活動でも、普段の仕事でも、否定されるばかりの2年間だった。

「特にコロナ禍の初期は、『オリンピックなんて今やることじゃない』という風潮でした。一年延期しての開催が決まってからも、大変なことがたくさんありました。でも、すごくやりがいがあったし、心身ともに強くなれました」

それは鉄が炎の中で叩かれ、鍛えられるような時間だった。

「『今は音楽なんて誰も求めてない』とか『どうしてオリンピックなんかやるの』って言われても、私は『みんなが落ち込んでいる時にこそ必要でしょ!』と思ったんです。『私は音楽が好きで、音楽の力を信じているし、オリンピックも好きで、開催しているところを見たい!』って」

 

「もともと私は、やりたいことをやって生きてきましたが、より明確になったんですよね。『誰かに全てを否定されても、私はこれが好きだから、これを信じます!』という心が育てられました」

精神面だけではなく、英会話やコミュニケーションの能力も磨かれた。

「実はずっと、自分の英語力に自信がなかったんです。日本に戻ってきて随分経つし、上には上がいるし、『マルチリンガルシンガーと名乗ってはいるけれど、私なんて大したことないよね』という気持ちがありました。でも英語でコミュニケーションをとっていた、大事なクライアントの方々が『あなたがいてくれて本当に良かった。もっと自信を持っていいんだよ』と言ってくださったんです。これまで頑張ってきてよかったな、と思えました」

21年末、オリンピック関連事業での業務を終えた鹿野は、新たな業界へ転職した。

「英語能力を維持しつつ、自分の音楽活動も頑張れる仕事がしたくなったんです。今は、エンターテインメントに関わる会社で、一日の半分以上は英語を使って働いています。実力のあるタレントさんと接する機会も多くて、仕事への心構えや戦略など、音楽活動の参考になることも多いです」

コロナ禍にまつわる自粛要請も、徐々に緩和されていった。

「あまり家から出られなかった時期に、『配信を頑張ってみよう』と思って、17LIVEさんで公式ライバーをやっていました。でも、部屋の中を仕事場にするのは、私には向いていなかったみたいです。22年ごろからは少しずつライブに出演するペースを戻して、自主企画の『GIFT』も再開しました。たくさんMVを制作したり、札幌に遠征したりもしました」

22年10月22日には、『鹿野レイ Birthday Dream 2022 – 3年ぶりのバンド de ワンマンライブ! -』を開催。自身初となるYokohama mint hallでのワンマンライブを見事に成功させた。同日リリースした3rd Album 『Wonderful World』は、名実ともに、一回り大きく成長した彼女を象徴する一枚となった。

諦めずに続けていたら、叶うものがあると伝えたい

2023年10月22日には『バースデイワンマン2023 – I Should be so HAPPY!! – 』、24年1月28日には『10th Anniversary – I will make you HAPPY♡ – 』、そして24年10月20日には『鹿野レイ Birthday Dream 2024 – 夢への道しるべ、100のチカラ – 』を、いずれもYokohama mint hallで開催した。

「24年は、100人のお客様にワンマンへ来ていただくことを目標にして活動をしました。こういう挑戦をするのは初めてだったので、とても大変でした。本番約一週間前にチケットをソールドアウトできた時は嬉しくて、涙が止まりませんでした

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(24年1月28日『10th Anniversary – I will make you HAPPY♡ -』の様子)

 

一つの大きな目標を達成した鹿野は、次に目指すべき場所を考え始めた。

「ミントホールさんでのワンマンを4回やらせてもらって、100人の集客にも成功して、さらにステップアップするなら、『PLEASURE PLEASUREかな?』って」

編者が「5年前からの夢ですものね」と言うと、彼女は笑顔で頷いた。

「実は私のお客さんの中にも、19年夏のREASNOTの記事の内容を覚えていてくださっている方々がいて、『そろそろ挑戦してもいいんじゃない?』と言っていただくこともあったんですよ」

鹿野が現在のように活動できているのは、ファンの存在あってこそだ。

「私はたぶん、自分だけの夢だったら、頑張れないタイプの人間です。ここ最近の活動で出会えた人も、10年以上前から応援してくれている人も、『レイちゃんが一番の推しだよ』って言ってくれる人も、何も言わないけど主催ライブに全部来てくれる人も、みんな大切。私の夢を覚えててくれて、応援してくれる人がいるから、ちゃんと叶えるために頑張りたい。皆さんの喜ぶ顔が見たいんです!」

憧れを現実にするにあたって、一人では乗り越えられない障害もあった。しかし、友人やアーティスト仲間に助けられ、無事に25年10月13日のSHIBUYA PLEASURE PLEASUREでの公演が決まった。

「本当は、26年くらいにやれたらいいなって思っていたんです。前回のワンマンから1年ちょっと時間をかけて準備して、自分を成長させて、お客さんも増やせたらいいなって。だけど自分の誕生日の近くにホールの空きがあるのは運命というか、『ここでやってみなさい』っていう、神様からの課題なのかなと、思い切りました」

 

公演当日は、長年苦楽をともにしてきたバンドメンバーとステージに立つ。

「ピアノの花岡環ちゃんとベースの遠藤優樹さんは、14年8月に1st Album 『Daydreamer』をリリースしたころから、もう10年以上、一緒にやってくれています。ドラムの阿部実さん、ギターの白須賀悟さん、キーボードの山本佳祐さん、コーラスの高塚駿くんと梨奈ちゃんにも、引き続きお世話になります。私の曲を良く知ってくれているみんなの力を借りて、最高のステージを作り上げたいです!」

照明や音響にも、信頼できるスタッフを集めている。

「普段のライブでは、どうしても時間や人手に限りがあるなかで、ベストなパフォーマンスを見せるために頑張っています。今回はチームを組んで、事前に全ての曲の情報をお渡しして、ゲネプロして、練り上げていくことができるので、すごく楽しみです。やっぱり持つべきものは友達、仲間ですね」

演出面にも力を入れる予定だ。

「この会場だからこそできる演出を、たくさんお見せしたいです。スモークを焚いて、ふぁーっと真っ白になったステージの上で、冬のバラードを歌うとか。サビでピンスポットライトを浴びるとか。やってみたいことがいっぱいあります」

目下の課題として、集客に頭を悩ませている。

「シンガーソングライターとして10年やってきて、去年やっと100人のお客様に来ていただけたのに、これから一年間で300人を呼ぶって、絶望的だなと思うんです。でも、やってみないと始まりません。今回の公演の制作に関わってくださっている方にアドバイスをいただいたり、遠征先で署名活動をしたり、できることから頑張っています」

今回の公演を通じて伝えたいことはありますか?と聞いてみた。

「私は音楽一家に生まれたわけでも、子どものころからステージに立ってきたわけでもないです。大人になってから、音楽的素養がまったくない人間として活動を始めたので、『夢を叶えるぞ』と言いつつも、『本当に叶えられるのかな?』と疑問を持ちながら走ってきました。そんな私でも、諦めずにずっとやってたら、叶うものがあるっていうのを見せられる場所にしたいです」

公演後のビジョンはあるのだろうか。

「今は10月に向けて全力投球なので、その先を考えるのは、公演が終わってからですね。ちょっと休憩したい気持ちもあります。でも私には、マウントレーニアホールに出会う前から目標にしていた、もっと先の夢の場所があります。本当に遠いけれど、『日本武道館』っていう夢がある限りは、歌い続けられるんじゃないかな」

25年10月13日、彼女がどんな姿を魅せてくれるのか、楽しみだ。

文:紅葉

Information

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2025.10.13(月祝) 『鹿野レイ Birthday Dream 2025 – MY DREAM STAGE
[会場] SHIBUYA PLEASURE PLEASURE(東京都渋谷区道玄坂2-29-5 6F
[時間] open 17:00 / start 17:30
[料金] 指定SS ¥10,000 / 指定A ¥6,000 / 自由席 ¥5,000 / 自由席(18歳以下)¥2,500
※チケット料金はいずれも税込表記です。
※別途1ドリンク代がかかります。
※入場は指定SS→A→自由席、チケット番号順となります。
※指定SSおよびAチケットには、当日メッセージブック(24P)が付きます。

[ファンクラブ先行販売] https://www.muevo-com.jp/campaigns/562 ※3/29(土)~4/3(木)まで
[一般販売] https://raykano.thebase.in/ ※4/4(金)~6/30(月)まで早期購入特典付

2025.10.18(土) 『鹿野レイ Birthday Dream 2025 アフターパーティー – 次の夢を語ろう
[会場] 東京音実劇場(東京都世田谷区玉川2-26-3
[時間] open 11:45 / start 12:00
[料金] ¥4,000(税込)+1drink
※Birthday Dream 2025とアフターパーティーの来場チケット同時購入で¥1,000オフ!

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◎鹿野レイ公式ページ

http://www.raymydream.com/