『夢を持ち続けて』『愛を抱きしめて』をテーマに活動しているシンガー、鹿野レイ(かの・れい)。瑞々しい歌声と笑顔を武器に活躍する彼女の魅力に迫った。
温かい言葉で紡がれる、愛と夢に溢れた楽曲群
「あと一歩」の19年1月にリリースした両A面シングル『Perfect Day / Choose』。全編英語詞の楽曲は、鹿野の新たな挑戦の一つだ。
「拠点が日本なので、なかなか難しいですけど、語学力を生かした曲をもっと作っていきたいですね」。
これに限らず、オリジナル楽曲の詞は全て鹿野が書いている。かつては作曲も手がけていたが、現在のレパートリーのほとんどはバックバンドのギタリストやキーボーディスト、ベーシストなどが作曲を担当しているという。
「元々、歌うことが好きなんです。子どもの頃に習っていたピアノも辞めちゃっているし、楽器や作曲に興味はありませんでした。でも音楽活動を始めるにあたって『カバーばかり歌うのは嫌だから、オリジナル楽曲がほしいな』と思って」と、鹿野は振り返る。
「音楽理論も知らないから、鼻歌にコードを付けていくような作り方をしていました。だから活動を続けてプロの人たちと一緒に演奏できるようになったとき、『悪くないけど良くもない曲だね』と評価されてしまいました」。

「私が一番に届けたいのは歌であり、歌詞なんです。想いを伝えるにあたって、ベストなメロディがほしい。だから今、曲は曲作りのプロにおまかせしています」。
鹿野がリスペクトしているアーティストは槇原敬之だ。「聞いていると幸せな気持ちになるし、優しさが凄く伝わってくるんですよね。私も、あんな風になれたらいいな」と、声に力を込める。
「全く元気がない人を100%元気にするのは難しいかもしれない。でも辛
い時、一瞬ふんばる力を与えることはできると思うんです」。
その想いは「身の回りに溢れる様々な形の”愛”を描きました」という2ndアルバムにも現れている。
YouTubeでMVを公開中の表題曲『愛のかたち』は、慈しみ溢れるバラードだ。どこか懐かしい音色と柔らかい言葉で構築された世界は、恋人や家族がいる人もいない人も、等しく温めてくれる。
ライブにおける代表曲は、アッパーチューンの『魔法の靴』だろう。
「素敵な靴は、あなたを素敵な場所へ連れて行ってくれる」というフランスの諺や「『くくるっくぅ~』と唱えれば、翌日に会いたい人と会える」など、鹿野の知る素敵なおまじないを詰め込んだポジティブな歌詞。心浮き立つメロディと合わさって、わぁっと盛り上がれる楽曲だ。
「鹿野のライブに来れば会いたい人に会えるし、楽しくなれる!だから、何度でも来てほしいです」。
かつて、偶然訪れた音楽雑誌『player』の記者は、鹿野の音楽を「華やかなガールズポップ」と評したという。まさにその表現に相応しい、キラキラした楽曲と笑顔の弾けるパフォーマンスがあなたを待っている。
さらに広く、深く、ファンと繋がれる機会を求めて
約10年間、関東近郊でしか歌ってこなかった鹿野。19年からは活動の範囲を広げたいと考えていたところ、シンガー友達に名古屋のライブハウスを紹介してもらい、2月に遠征を敢行。
見に来てくれたお客さんの言葉に誘われ、5月の栄ミナミ南音楽祭にも出演を果たした。
一つ一つの縁が引き寄せてくれたかのような音楽祭のステージは、非常に楽しかったという。
「私はメジャーでもないし、大きなメディアに出てるわけでもない。知ってもらえる場所に出ていって、色んな人と繋がっていきたいです」。
知名度向上とファンの獲得に当たって、野外イベントは格好の舞台だ。少しでも歌を聴いてもらって、名前を覚えてもらえたら、あとで検索してくれるかもしれない。好きになってもらえたら、ライブハウスにも来てもらえるかもしれない。
引き続き、様々な可能性を求めていきたいと鹿野は言う。
また、鹿野は最近までワンマンライブをしたことがなかった。川崎銀座街バスカーライブやライブハウスでのブッキングで新しい繋がりを得たり、親しいアーティストとの仲を深められる企画ライブの方が、実りがあると思っていた。
だが熱心なファンの声に押され、19年1月、幡ヶ谷36°5で初のワンマンライブを開催。
「やってみると、良いものでした」と、鹿野は笑う。応援してくれるファンと一対一で作り上げる時間は濃密で、届けたい音楽が一層輝くように感じられた。
何より、ファンが喜んでくれたことが嬉しかったという。
19年10月5日には、渋谷gee-ge.にてバースデイワンマンライブを企画している。「前回はアコースティック編成でしたが、今度はバンドです。最高に幸せな空間にするので、お楽しみに!」。
7月からは、かわさきFMで毎週木曜日18:00から放送されている川崎銀座街のラジオ番組『銀座街からつながる空』のレギュラーパーソナリティーを務めることも決定している。
これからさらに広く深く、活動の幅を広げていくことだろう。
text:Momiji photos:Kei Ishikawa
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