中央区銀座にあるアコースティックライブハウス『Miiya Cafe(ミーヤカフェ)』。オーナー兼マスターのMiiyaは、自らもギター弾き語りシンガーソングライターとして活躍するアーティストだ。店内のデザイン設計から音響・照明まで携わっているというMiiyaに、お店へのこだわりや、自身のリリースしたCDの内容などを訊いた。
こだわりの楽器、機材、内装設備
アマチュアからプロまで、多数のアーティストが出演しているMiiya Cafe。07年には、Miiyaが最も尊敬するオフコースの鈴木康博氏がシークレットライブを開催したことさえある。
別館の地下で経営していた時代は電子ピアノしか置いていなかったが、移転にともなうリニューアルオープンを機に、YAMAHA C3 Artistic Editionを購入した。ワンランク上のSシリーズと同等の響板やワイヤーで作られており、同じサイズのグランドピアノの中でも、よりグレードの高い音を奏でる。
音響システムには、Roland V-Mixer M-400を採用している。
「たまたま、ローランドの新機種の発表会に行ったら、担当者の方が親身になってくださって。ローランドさんとトモカ電気さんがタッグを組んで、音作りを手伝ってくれました。うちの店にあるのは、M-400の一号機なんですよ。リニューアルオープンの日が、M-400の発売日となっています」とMiiyaは茶目っぽく言葉を添えた。
他にも、店内のいたるところに彼ならではのアイディアを詰め込んでいる。
「僕もミュージシャンなので、出演者側の気持ちが分かるんです。まず自分で図面を書いて、建築士に清書してもらいました。かなりわがままを通しましたよ。楽屋を広くして、録音ブースを兼ねた更衣室も作りたいとか」。
七色を表現可能な照明設備は、音楽雑誌のステージ&ライティング特集に掲載されたことがある。ライブを撮影するためのカメラも複数設置されており、ズームやパンを交えたミックス映像の制作が可能だ。
ライブの日は基本的に、音響、照明、録画までMiiyaが一人で担当している。「全部独学でやって来ました。この箱にぴったりのやり方を模索しています」。
彼の創意工夫は、楽器や設備に留まらない。店が主催するブッキングライブでは毎回違ったテーマを設定している。
「かつては日々のライブの模様を伝える為に写真と掲示板の連動掲載を試みたり、レーベルを立ち上げて出演者のオムニバスCDを全国リリースしたり、色んな取り組みをしてきました。 全て『Happiness & peace』を広める一環です」。
隅々まで趣向を凝らしたMiiya Cafeでのライブを楽しみたい。
シンガーソングマスター・Miiyaとしての活躍
東日本大震災・熊本地震の被災地を支援するチャリティライブや、音楽を通じていじめや環境問題を考えるイベントの主催など、様々なプロジェクトを展開してきたMiiya。
彼は自称”シンガーソングマスター”というMiiya Cafeのオーナー兼マスターとしての顔も持ちながら、これまでに3つのレーベルを立ち上げ、7枚のCDをリリースしている。

「最近は忙しくて、あまり動けていませんが、レーベルを大きくしたい気持ちはあります。自分のレーベルをメジャーにしてしまえばいいじゃないか、と思っています」。
2014年に自身初となるアルバムをリリース。Yahoo!ニュースにも取り上げられ話題になった。
「お店を運営する中で知り合った素晴らしいアーティストと、Miiya with Heart Rock Cafe名義で活動していました。僕のアルバム収録曲は、全曲、全パート、Miiya Cafeで録音したものです」。
ミックスも自分で行い、マスタリングだけメジャーで活躍するプロにお願いした。『Miiya Cafeの音』で作られたCDだ。
表題曲の『ハピネスの花』は、サビの『君の中に”輝く愛の光”があるから 自分を信じて 自分を愛して』という歌詞が印象的な、メッセージ性の強い楽曲だ。昔から歌い続けており、大学時代の先輩も好きだと言ってくれていたという。
「性善説と性悪説は両方とも存在していて、何が正しいかというと難しい。だけど僕は、善に焦点を当てたいんです。『君の中にも優しさや、綺麗なものを綺麗だと思う気持ちがあるよね』って伝えたい。自分を大切にして、善なるものに焦点を当てていったときに、人は幸せの花を咲かせていけるはずだという信念、強い想いを込めました」。
同じアルバムに収録されている『さくらの空』にも思い入れがある。
「亡くなったGasoline Alleyのマスターが認めてくれた代表曲です。僕は『冬は必ず春となる』という言葉が好きです。『今は冬のような時代でも、いつか必ず春が来る。みんな幸せに、満開の桜を咲かせてほしい』という願いを込めて作りました」。
Miiya Cafeの空気感を構成する一曲でもあり、主にブッキングライブでの転換時、店内BGMとして流れている。
かつて出場したモーリスフォークコンテストの全国大会では、ビートルズ本の著者としても有名な審査員長から「君にはポール・マッカートニー的なものがあるから頑張りなさい」と高く評価された。
「自分のCDをリリースした時のことです。銀座の山野楽器本店で、憧れの小田和正さんのポスターのすぐ近くに、Miiyaのポスターが貼られているのを見て感激したことは、今も忘れられません!」。
彼はまるで昨日のことのように追懐したあと、未来を語った。
「元オフコースの小田和正さんは、 70歳を越えてもあれだけ活躍されてます。僕もまだまだ、死ぬまで音楽をやっていきたいです」。
目を輝かせるMiiyaの姿に、勇気づけられる思いがした。
Text:Momiji
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