シンガーソングライターの伴奏や編曲、ミュージカルのライブやゴスペルのバックバンドへの参加など、幅広く活躍するピアニスト、山本佳祐(やまもと・けいすけ)。彼の活動の数々と、ワンマンライブや企画ライブの内容について聞いた。
幅広いジャンルでの演奏から作編曲まで
年間300本を超えるイベントで演奏している山本。
シンガーソングライターのライブで伴奏を務めたり、ミュージカルの楽曲のみを演奏するイベントでピアノを弾いたり、ゴスペルのバックバンドに参加したりと、様々なジャンルで活躍している。
「最近は、バイオリニストの方と一緒に昭和歌謡を弾いています」。
リスペクトしている演奏者はいるのだろうか?
「僕は負けず嫌いなんですよ。みんなライバル視しちゃうので…」と言いつつ、専門学校時代に好きだったピアニストは、ジャズやフュージョン界で活躍していたジョー・サンプルだと教えてくれた。「彼の楽曲や演奏は、煌びやかで好きでした」。
「ずっと前に対バンしたはらかなこさんは、独自の世界があっていいなと思います。ジャズピアニストの瀬田創太さんは、抜群にうまいですよね。リズムキープの巧みな技が、言葉で言い表せないんですけど『なんかすごいな』『これいいな』と、グッときますね」。
ただ、彼らと自分を比べることはせず、「自分にできることをやろう」と考えるようにしていると言う。
ライブでの演奏以外にも、シンガーソングライターの楽曲の編曲や、ピアノアレンジを多数引き受けている。
「様々なCDに参加しているので、『このピアノもしかして山本かな?』と思ったら、山本かもしれません。最近は、すずもあゆみさんの『輪』と金田一芙弥さんの『廻』の両方で、アレンジとピアノ演奏を担当しました。音系・メディアミックス同人即売会のM3にも、ちょっとずつ関わっています」。
しかし、彼個人のCDはない。「毎年、ワンマンの時に出せたらいいな、とは思うんです。ただ12月は鬼のように忙しくて、気がついたら年を越しているから、間に合いません。いつか作りたいですね」。
ソロのオリジナルインストゥルメンタルは、15曲ほど完成している。
「こまごまとしたもの、ネタとしてストックしているものを含めれば、もっとあります」。3分から4分ほどの長さで、コンパクトにまとめた曲がほとんどだと言う。「歌物に近いですね」。
彼個人のCDも、楽しみに待ちたいところだ。
ワンマンライブや企画ライブの内容について
毎年一月に主催しているワンマンライブでは、4組のゲストボーカルを招き、自分のオリジナル楽曲や、ゲストの楽曲を演奏している。
「一番長くやっている企画です。2020年にvol.7を開催しました。いつものお客さんはもちろん、中学時代の友人が毎回来てくれていて、嬉しいです」。
ゲストボーカルには、山本が伴奏を務めたことのあるシンガーソングライターや、ミュージカル関係の歌い手が参加することが多い。「これをきっかけに縁を繋ぎたい」と、一度も共演したことのない人を誘うこともある。
ワンマンライブより頻繁に開催している企画には『手持ち無沙汰ライブ』がある。「vol.6を10月に開催したばかりです。毎回、四谷天窓.comfortさんでやっていたのですが、閉店されてしまったのは寂しいですね」。
この企画では、普段、弾き語りで活動しているアーティストをゲストとして招いている。「弾き語りのひとに楽器を触らせない、だから『手持ち無沙汰』なんですよ。たまに、ハンドマイクに慣れてる人もいますけど」。
当日は一組につき5曲、計20曲を山本がアレンジし、ぶっ続けで演奏する。
「ボーカルの魅力を最大限に引き出すのが目的です。それぞれの歌の強さやジャンルによって、弾き方も変わるので、引き出しが増えます。すべてを楽しみつつ、修行しつつ、という企画です」。
他に、『Musical Songbook』という企画ライブもある。
「まだ2回しかやっていませんが、続けたいと考えています。会場はGRAPES KITASANDOさんです。3人のボーカルさんを呼んで、ミュージカルとディズニーの楽曲を演奏しました」。
このイベントでは、山本の歌声も聴くことができる。「ミュージカルだと、男女デュエットの歌が多いんです。コーラスを担当することもあります」。
コーラスを始めたのは、ユニット時代からだ。「歌うのは好きだけど、苦手なんです。音がとれるわけじゃないけど、やってます」。
高校生時代から槇原敬之やスピッツ、Mr.Children、鬼束ちひろなどのアーティストを好んで聞いており、「J-POPなどの歌物が好きだ」と言う山本。それでも自身が弾き語りをしないのは、「苦手だから」の一点張りだ。
「もし需要があればやるかもしれないけど、一人ではやりたくないので、逆にサポートをいれたいですね。バイオリンを弾いてほしい、とか」。
彼のソロ活動からも目が離せない。
text:Momiji photo:Macoto Miura
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