東京都出身のシンガーソングライター、ニシナオキ。80〜90年代のR&Bやシティ・ポップに影響を受け、エモーショナルなサウンドを創り出している彼の代表作と、そこに込めた思いに迫った。
目次
故郷の風景と、「手で触れられるもの」への思い
ニシナオキは、これまでに6枚のDigital Singleと、1枚のmini Albumをリリースしてきた。その作品の多くは、東京の街をモチーフにしている。
「生まれ育った街の風景に、自分が考えてきたことを詰め込んで歌うことが多いですね。僕の地元に来ていただいたら、はっきり場所が分かると思いますよ」
楽曲を通して、同世代に伝えたい思いがある。
「僕の世代には、スマホやインターネットの世界に囚われている子が多いと感じます。もっと外に出て、たとえば公園で寝てみたり、紙の本を読んだり、当たり前の『リアル』を楽しめたらいいのになって。そういうメッセージを直接的な言葉じゃなくて、間接的に伝えるのが僕のテーマです」
その思いは、ライブでのパフォーマンスにも表れている。
「オリジナル曲を魅せるっていう面では、バンドの方が自分らしくやれています。やっぱりバックがいるので、自由に動けるんですよね。逆に弾き語りでは、カバー曲を積極的に演奏しています」
彼いわく、80年代や90年代に活躍したアーティストは、ライブでカバー曲を披露することが多い。
「だから僕も、好きな曲を自分なりにアレンジして、その魅力を伝えたいと思っています」
MVや、CDジャケットのデザインワークにもこだわっている。
「自分が中心になって、昭和好きな人たちを集めて作っています。他のシンガーソングライターの皆さんとは違うことをやっていきたいですね」
いつかワンマンライブを開催するときには、ステージセットも作りこみたいと語る。
「ステージの上にバーカウンターとか置いて、完全に80年代を再現したいですね」
彼がこれからどんな世界を見せてくれるのか、楽しみだ。
1st mini Album『HEART OF THE CITY』について
2023年11月22日に発売した1st mini Album『HEART OF THE CITY』は、ニシナオキのハイライトと呼べる一枚だ。
一曲目に収録されている『魅惑夜』には、彼なりに現代へのアンチテーゼ的なメッセージを込めた。
「歌詞では今の時代を歌いながら、サウンドは昔っぽくすることで、違う時代感が合わさった感じになって、面白くできました」
もう一つ、ファンからの人気が高い『電波』は、疾走感のあるシンセポップスだ。
「僕は曲を作るとき、まず、イメージを決めるんです。『電波』は『昼に、東京の丸の内を車で走っている』というイメージから作りました。カーステレオを流しながら、ダサい男が女の子を迎えに行く感じです」
ライブでは、フロアと一体になって盛り上がれる楽曲だ。
「もともと僕は暗めな曲を作ることが多かったんです。でもライブをやっていくうちに、楽しい、アップテンポな曲も欲しくなって、この曲を作りました」
YouTubeなどで公開されているMVの撮影の際は、事務所関係者が実際に使用していたブラウン管テレビなどの小道具を使用した。映像の質感も当時に合わせている。
「上辺だけじゃなく、あのころの文化そのものが好きなんです。当時を知る人たちに刺されば嬉しいですね」
懐かしくも新しいニシナオキの世界を、多くの人に感じてほしい。
文:紅葉
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