【R40:STORY】歌手と役者の二刀流・今橋美紀

関東を拠点に歌手としてライブを行いつつ、劇団YAMINABE所属の劇団員としても舞台に立つ今橋美紀(いまはし・みき)。幼いころは芝居に苦手意識さえ抱いていた彼女が、芸事を勉強したいと思うようになり、現在の活動に至るまでの経緯を聞いた。

芝居が苦手だった子ども時代

今橋は、幼少期の夢を「よく覚えていない」と語る。

「将来のこととか、あまり考えていなかった気がします。幼稚園や小学校の卒業文集には『ケーキ屋さん』とか『お花屋さん』とか書いていたような子どもでした」

幼稚園のころから近所のピアノ教室に通い、小学生になるとクラシックバレエやヒップホップダンスを習いはじめた。

「バレエを辞めたあとはミニバスをして、中学校はバスケ部に所属しました。空手をやっていた時期もあるし、大学ではコンテンポラリーダンスをしていました。何かを極めたいっていうより、興味があることをやって、友達ができて、楽しくて続ける、って感じでした」

家族の影響も大きかった。

「私の母は、若いころから芝居をしています。母の勧めもあって、姉と一緒に色んな習い事をさせてもらいました。ありがたいことです」

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(劇団YAMINABEの舞台にて、母と共演したシーン)

 

ただ、苦い思い出もある。

「小学校低学年のころ、母の繋がりで子役の事務所に所属していました。とはいえ芝居の勉強をしていたわけではなく、籍を置いているだけでした。なのに、とある映画のオーディションで書類審査を通過して、最終選考まで残っちゃったんです」

いきなり審査員たちの前で演技をするはめになったが、上手くできるはずもなかった。

「すっかりトラウマになって、『芝居はもう絶対やりたくない』と思いました。何もできなかった私が悪いのは分かっているのですが……」

芝居に苦手意識を持つ一方で、歌うことは好きだった。しかし、人前で歌いたいという気持ちはなかった。

「音楽の授業で歌ったり、テレビで音楽番組を見たりするくらいでした。歌手になろうと思ったことはないですね」

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そんな彼女が、積極的に音楽と関わるようになったのは、高校生の時だ。

「アニメの『けいおん!』を見たりして、楽器やバンドに憧れを持ったんです。幼馴染と一緒に軽音部へ入って、最初はベースを弾いていました。しばらくして、編成の都合でキーボードとコーラスに変わりました」

部活内でバンドを組み、ボーカロイドの楽曲などを演奏した。

「当時は、ボーカルの子が曲を選んでいました。今、私がやっているライブに近い雰囲気だったと思います」

部活動を続けるうちに、「もっと歌が上手くなりたい」という気持ちが芽生え、『仮面ライダーアギト』の主題歌などで知られる石原慎一氏に師事。ボイストレーニングを受講し、発表会にも参加するようになった。

「もっと芸事を学びたいと思いました。子どものころのトラウマは、いつの間にか克服できていたみたいです」

高校卒業後は、桜美林大学の芸術文化学群の演劇・ダンス専修へ進んだ。

「母が『大学は出ておいた方がいい』とアドバイスをくれたのもあって、進路を決めました。父は芸事とは無関係の会社を経営しているのですが、『好きなことをしたらいいよ』と言ってくれました。おかげで自由にやらせてもらえて、私は本当に恵まれています」

縁の繋がりとともに活動の幅を広げる

大学卒業後、歌手としても役者としても、本格的な活動を開始した。

「知り合いから『ライブハウスに出てみない?』とか、『公演に参加してみたい?』とか誘っていただけることが増えて、繋がって繋がって、今に至ります」

2019年3月28日から31日にかけて、板橋ファイト!で開催された芝居『腕トラ主催公演 Tribal days-scene12-「小指のグラフィティー」』に出演。公演初日に発売された1st Single『硝子のソレイユ』は、同公演の挿入歌となった。

さらに同年11月21日、『unit Tribal days 旗揚げ公演 season01「縛られないゲーム」』に出演。同公演の挿入歌として、2nd Single『いなくなるからね』を発売した。

「公演を主催された方が、音楽も一緒に作ってくださいました。『硝子のソレイユ』は既に完売していますが、『いなくなるからね』は、今もライブ会場などで販売しています」

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2020年末からは、白石将悟氏が主宰する『劇団YAMINABE』に所属した。

「最初はフリーランスの状態で、たまたまご縁があって、将悟さんが演出する舞台に出させていただいたんです。演じるうちに、彼の作品が大好きになりました。ちょうどそのころ、白石さんが劇団を作ろうとされていたので、『入りたいです』と手を挙げました」

23年には、シンガーソングライターの高尾彩佳氏とのユニット『きりんどっぐ』を結成。11月25日に、池袋 Living bar FI5VEにて初ライブを行った。

「きっかけは、彩佳ちゃんがファイブさんでやっているマンスリーワンマンライブに、ゲストとして呼んでいただいたことです。コラボコーナーで一緒に歌ったら、PAの方が『二人は声の相性がいいね。ユニットを組んだら?』と言ってくださって、『じゃあ組んじゃう?』と。ノリと勢いで決まりました」

ソロでの活動にも良い影響があったと語る。

「私はずっと、歌に自信がありませんでした。でも彩佳ちゃんと一緒に音楽をしはじめて、身近にすごく上手で尊敬できる人がいることで、成長できた実感があります」

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24年8月4日には、池袋 Living bar FI5VEにて、1st ワンマンライブ『おこさまランチ ~おなかいっぱい笑顔になれる日~」を開催。実母の今橋かつよ氏と高尾彩佳氏をゲストに招き、芝居やコラボコーナーも取り入れた。9月7日には『おかわり公演』も行っている。

「ずっとワンマンライブへの憧れはあったんですけど、踏み出せずにいました。ファイブのオーナーの瀬井さんに背中を押してもらって、遂に開催することができました。とても緊張しましたが、楽しかったです」

好評を受け、12月7日に2ndワンマンライブ『スマイル ~笑顔でココロもカラダもぽっかぽか~』を、25年4月5日に3rdワンマンライブ『dreamy night』を開催。新たなゲストとして、それぞれ渋木美沙氏、常盤侑希氏を迎え、大成功を収めた。

「ワンマンの前半は私がソロで歌って、後半はゲストさんを交えてのステージという構成にしました。自分にしかできないことをやりたくて、毎回、お芝居のコーナーを入れています。ゲストさんの中には、普段は芝居をされていない方もいらっしゃるので、ここでしかできないこと、見られないものを提供できたんじゃないかと思います」

自分らしく、演技も歌も磨いていく

現在は、池袋 Living bar FI5VEや東京音実劇場などで定期的に歌いながら、劇団YAMINABEの公演やイベントに参加している。

「一年に3~4回、劇団の公演があります。ほとんど一本物で、笑って泣けるお話が多いです。本番と稽古期間を含めて、2週間はほぼ休みがありません。そのためライブの本数も少なくなってしまいますが、平均で月2~3本ほど歌っています」

歌手と役者の両立は大変ではありませんか?と聞くと、彼女は首を振った。

「私にとって、歌と芝居には共通するものが沢山あります。歌が良くなれば芝居も良くなるし、逆もそうです。どちらも大事に、手を抜かずに頑張っています」

直近の目標は、ギターを弾けるようになることだ。

「昔、ピアノは習っていたけど、弾きながら歌えるほどの技術はないというか、弾く方に意識が行ってしまいます。アコギなら弾き語りできそうだし、自分で曲を作りたいってなった時にもやりやすそうだなって」

これまでは作曲家や作詞家から楽曲提供を受け、カラオケ音源で歌ってきたが、新たなステージに歩を進めたいと意欲を見せる。

「最近、きりんどっぐで作詞に挑戦しました。彩佳ちゃんが作曲をして、私が歌詞を書くっていう形です。曲も自分で書けるようになって、ギターも弾けるようになったら、楽しいだろうなぁ」

いつか、ライブで弾き語りを披露する日が来るかもしれない。

「あと、今ってTikTok時代ですよね。私もよくショートドラマを見ているのですが、発信する側になりたいな。歌ってみた動画を上げたり、オーディションを受けて出演したり、映像作品での活動もしていきたいです。配信ライブもやれたらいいですね」

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5年後、10年後はどんな自分になっていたいですか?と聞いてみた。

「一番は、今と同じように、楽しく活動を続けていたいです。目標としているのは、2nd ワンマンライブにゲストとしてお招きした渋木美沙さんです。歌と芝居はもちろん、女性としてすごく素敵な方で、尊敬しています。彼女のような存在になりたいです」

そのためにも、今、自分の活動を応援してくれている人々を大事にしたいと考えている。

「私のことを少しでも良いと思ってくれる方を、もっと楽しい気持ちにしてあげられるようにがんばりたいです。その結果として、少しずつでもお客さんが増えて、広い会場でワンマンライブをできるようになっていったら嬉しいです」

チャームポイントは「元気と笑顔」という彼女が、どんな道を歩いていくのか、期待したい。

文:紅葉

 

INFORMATION

2025.7.5(土)   18:00 開場 / 18:30 開演
『ガールズ4ダイス〜48th.タンブリング』

[会場] 池袋Living bar FI5VE(東京都豊島区南池袋1-8-21
[料金] 3,700円(1D+おつまみ付)
[出演] Sayu,ホワイトヴェール(あんな),risa,今橋美紀

2025.7.9(水)~13(日)  
劇団YAMINABE第21回公演「エスパー探偵」

[会場] 千本桜ホール(東京都目黒区鷹番3-8-11 第三エスペランスビル
[料金] 前売 5,000円 / 特別前売 6,000円
[予約] https://www.quartet-online.net/ticket/wlsu0pk?m=0lacgbf

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2025.7.19(土)  17:00 開演
KARAOKE BATTLE NIGHT

[会場] 東高円寺LOS ANGELES CLUB(東京都杉並区高円寺南1-7-2 B1F
[料金] A席 4,000円 / S席 5,000円

2025.10.13(月祝)  今橋美紀 4thワンマンライブ

[会場] 池袋Living bar FI5VE(東京都豊島区南池袋1-8-21

 

2025.11.8(土)  きりんどっぐ 2ndワンマンライブ

[会場] 池袋Living bar FI5VE(東京都豊島区南池袋1-8-21