【RS22】憧れのあなたに追いつきたくて・晴れのち桜

ギター弾き語りシンガーソングライターのつづみと、ピアノ弾き語りシンガーソングライターの梨菜(りな)によるユニット・晴れのち桜(はれのちさくら)。miwaに憧れて音楽を始めた彼女たちは、路上ライブで出会い、音楽仲間として切磋琢磨してきた。2023年にユニットを結成し、それぞれのソロ活動と並行して歩を進める二人の夢を聞いた。

路上ライブでの出会い

埼玉県出身のつづみは、小学校から中学校にかけて吹奏楽部でフルートを担当し、高校と大学では書道部に所属していた。多才な彼女がギター弾き語りに興味を持ったのは、中学1年のころだった。

「ギター弾き語りのアーティスト、特にmiwaさんへの憧れが大きかったです。ギター一本で歌う姿がかっこいい、彼女の曲が歌いたいってところから始まりました」

ただ、当時は「ギターを弾いていることを知られるのは恥ずかしい」という感情があった。

「家に誰もいない時、兄が持っていたギターを借りて、こっそり練習していました。6年くらい秘密にしていましたね。高校を卒業するころ、家族に宛てた曲を作って披露したのが、人生で初めての『誰かに自分の歌を聴いてもらう』体験でした」

それきり人前で演奏する機会はなかったが、2019年ごろ、「路上ライブをやってみたい」という思いが芽生えた。

「色々と調べていたら、朝霞市がストリートライブ事業をやっていることが分かりました。いきなり出演の申し込みをするのはハードルが高いと感じたので、まずは観に行くことにしました」

つづみが会場へ足を運んだ19年11月17日、演奏していたのが梨菜だった。

 

「梨菜ちゃんは、miwaさんの曲をカバーしていました。『もしかしてファンなのかな? 年齢も近そうだし、仲良くなれないかな?』と思って、演奏終了後に話しかけました」

一方の梨菜は、懐かしそうに振り返る。

「私もmiwaさんが大好きだし、声をかけてもらえて嬉しかったので、連絡先を交換しました。最初は二人ともぎこちない敬語を使っていましたが、徐々に打ち解けていきました。つづみちゃんは、私が初めて箱ライブに出た日、2020年3月の下北沢LOFTでのライブも観に来てくれました」

ほどなくして、つづみも本格的な音楽活動を開始した。初めてライブハウスへ出演したのは、20年9月27日、下北沢LOFTで開催された『SUNDAY-MA-MAGiC-NiGHT! vol.5』だった。

「『SUNDAY-MA-MAGiC-NiGHT!』は、miwaさんをきっかけに歌い始めたシンガーソングライターが集うイベントです。その日は、梨菜ちゃんも対バンとして出演していました」

二人は、ソロのシンガーソングライターとして音楽活動をしながら、交流を続けた。突発的にツーマンライブを行ったこともあった。

22年の夏にLOFTさんへ出演した時、普通のブッキングライブの予定だったのに、本番一週間前、私たち以外の出演者さんがキャンセルになってしまったんです。でも店長さんが『つづみちゃんと梨菜ちゃんは仲いいし、ツーマンみたいな感じにしようよ』と提案してくださいました」

「私たちも『せっかくだからコラボをしよう』と話し合って、miwaさんの『君に出会えたから』を演奏しました。まだコロナ禍の影響も残る時期でしたが、楽しい一日にすることができました」

音楽面以外の趣味も似通っていた二人は、プライベートでも猫カフェへ行ったり、テーマパークへ行ったりと仲を深めていった。

22年11月5日には、練馬FAMILYの3周年記念月間のイベントの一つとして、ツーマンライブ『With You』を開催。それぞれのソロステージに加えて、互いの曲を1曲ずつと、共作曲を演奏した。

「FAMILYさんへのお祝いの気持ちを込めて、二人で作ったのが『灯-あかり-』という曲です。お店の温かい雰囲気と『家族』をテーマに、アイディアを出し合いました」

 

晴れのち桜を結成したきっかけの一つが、23年3月26日、下北沢LOFTでのライブで『つづみと梨菜』として演奏したことだ。

「その日は出演者全員でコラボをする予定で、お店の方に『二人でギターとピアノを弾いてほしい』と言われていました。あくまで一時的なユニットでしたが、カラオケで合わせる練習をしていた時に、つづみちゃんから『正式にユニットを組まない?』と誘ってもらったんです」

つづみは「勢いで言ったかもしれません」と笑う。

「『灯-あかり-』を共作した時、誰かと一緒に音楽を作る喜びを感じました。相手が梨菜ちゃんだったからこそ、ユニットをやりたくなったんです」

梨菜は、その誘いを快諾した。

「私はバンドとか、複数人での音楽活動には興味がなくて、ずっとソロで頑張っていくつもりでした。でも、つづみちゃんと音楽をやるのは楽しかったので『ユニットもいいかもしれない』と思えました」

ワンマンライブ開催を目指して、楽曲を増やす

彼女たちの代表曲の『灯-あかり-』は、心が通う相手と暮らす日々を描いた心温まるバラードだ。

「カラオケに8時間くらいこもって、おしゃべりしたり、楽器を鳴らしたりしながら作りました。テーマを決めて、コードを選んで、それぞれが考えたメロディを歌ってみたら、ほぼ同じだったんです。もともと好きなアーティストが一緒だし、音楽的な引き出しが似ているのかもしれません」

ユニットを組んで良かったことはありますか?と尋ねると、梨菜は「ソロだとやりづらい曲を作れるのがいいですね」と語った。

「私は普段、ピアノ弾き語りをしていると、演奏する曲がバラードに偏りがちなんです。もちろん弾き方などを工夫すればいいのですが、リズミカルな曲や、アップテンポな曲では、やっぱりギターの方が活躍できます。はれさくの『Raindrops』は、つづみちゃんのギターを生かせているなぁと思います」

 

つづみも頷く。

「ソロの時って、どうしても『自分が歌う』って意識が強いので、可愛い曲を作れないんです。『私はこんなキャラじゃないし…』と恥ずかしくなっちゃう。でもユニットだと、ある意味、提供曲みたいな感覚で作れます。作品制作の幅が広がりました」

ユニットでの活動を通じて、コーラスの技術も向上した。

「ソロではなかなかできないことだし、他の人とセッションする時も役に立っています」

梨菜も「二人ともメインボーカルを張れて、コーラスもできるのは、私たちの強みです。ユニゾンでの声の相性を褒めていただけることも多いです。ぜひ、ソロとの聴き比べを楽しんでください」と語る。

いつか、あなたと同じ舞台に立てますように

『晴れのち桜』というユニット名を決めたのは、つづみだった。

「春からずっとメッセージのやりとりをして、顔を合わせるたびに『名前をどうしようか』と話し合っていました。6月ごろになっても決まらず、このままじゃお披露目できないってなってた時、どこかから『晴れのち桜』という言葉が降ってきました」

お互いのソロのライブ予定などを考慮して、23年9月1日に結成の告知をすることを決めた。

「まっさらな状態で『結成します』とだけ告知するのは、嫌だったんです。告知までの期間に『はじまりの歌』を作ったり、YouTubeに投稿する動画を撮り溜めたりしていました」

晴れのち桜として初めて演奏を披露したのは、2023年10月21日に練馬FAMILYで開催された、つづみのワンマンライブでのことだった。

「いつも応援してくださっているお客様達から、『はれさくいいね』って言葉をいただけて、嬉しかったです。良い化学反応が起こせたんじゃないかな」

 

その後は週一回、YouTubeへのショート動画の投稿を続けながら、2ヶ月に一本のペースでブッキングライブへの出演を重ねていった。

「ユニットを結成した時から、『ワンマンライブをやりたいね』って話していました。ただ、最初はオリジナル曲が3つくらいしかなかったんです。ワンマンの場所を押さえて、日時を決めて、当日に向けて曲を増やしていきました」

現在は、提供された楽曲を含めて、12曲のオリジナル曲がある。

「以前からお世話になっているヤマカワタカヒロさんに『背中』、村上聡さんに『真っ白な僕』を提供していただきました。前田克樹さんは『Ray』を作曲してくださって、私たちが作詞しました。ありがたいご縁をいただけて、感謝しています」

24年7月7日、下北沢LOFTにて『晴れのち桜 1st single「灯-あかり-」 release One-Man Live』を開催。オープニングアクトを務めた夢粉雪とのコラボや、つづみと梨菜の楽器交換、新曲披露など盛りだくさんの内容は好評を博した。

「コラボのために『Snow Dream』、楽器交換のために『つぼみ』を作りました。なかなか大変でしたが、ユニットだからこそできることがしたかったので、挑戦してよかったです」

24年9月1日には、各種サブスクリプションサービスにて『灯-あかり-』の配信をスタート。ブッキングライブへの出演ペースも増やした。

「ワンマンを終えて、ユニットとして練度が上がって、土台がしっかりできました。今後は、もっと外に出て行って、新しい出会いを増やしたいです。音楽仲間との共催ライブも企画しています」

 

5年後、10年後のビジョンはありますか?と聞くと、二人は声をそろえた。

「私たちは、miwaさんに憧れて音楽を始めました。彼女に追いつきたい、共演したいっていうのが、大きな夢としてあります」

実は二人とも、miwa本人の前で歌唱した経験がある。23年3月26日に下北沢LOFTで開催された『SUNDAY-MA-MAGiC-NiGHT! vol.9』で、それぞれソロとして出演した時のことだ。

「LOFTさんは、miwaさんにとって音楽活動の原点といえるライブハウスなので、イベントに顔を出してくださったんです。最高のサプライズでした。遠い目標かもしれませんが、いつかまた、音楽の場でお会いしたい。あの日の思い出と感じた想いを乗せて、晴れのち桜として完成させた曲が『あなたへ』です」

彼女たちのこれからに期待したい。

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文:紅葉 カバー写真:月と森 アーティスト写真:ヒラツカマリナ

INFORMATION

1st single『灯-あかり-』 ライブ会場にて販売中(3曲入り¥1,500)

 

【サブスクリプションサービスでの配信はこちら】 https://linkco.re/QHyatPgq

※1st single『灯-あかり-』のCDの売上の一部を、保護猫団体「猫家族」さまに寄付させていただいています!保護猫活動が皆様にとって少しでも身近なものに感じていただけたら嬉しいです。

◎晴れのち桜 公式ページ

 https://x.com/haresaku2612

◎つづみ 公式YouTube

https://www.youtube.com/@nekoguitar2402

◎梨菜 公式YouTube

https://www.youtube.com/@rina0206piano

 

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