【SSW.04:WORKS】和洋の様式を取り入れた、力強く個性的な作品群

都内を中心に活躍しているギター弾き語りシンガーソングライター・星乃馨(ほしの・かおる)。その作品や、今年計画しているワンマンライブの内容とは。

NYでのレコーディング体験と、CD・DVDについて

浅川マキやUA(ウーア)、チバユウスケといった個性派のシンガーをリスペクトしている星乃。海外のアーティストでは?と訊くと、ホイットニー・ヒューストンやカサンドラ・ウィルソン、エイミー・ワインハウスの名を上げてくれた。

星乃自身、過去にニューヨークでレコーディングをしたことがある。

きっかけは数年前、知人から「マーク・ウルセリ氏が、レコーディングする人を探している」との情報を入手したことだ。

ウルセリ氏といえば、スティングやエリック・クラプトンなど錚々たるミュージシャンのレコーディングを担当し、06年にはエンジニアリングとミキシングでグラミー賞も受賞した録音エンジニアである。

早速、初めての海外へと赴いた星乃。

「面白かったですね。まず、スタジオの雰囲気が独特でした。市内の栄えている場所にあるのに、そのビルの中に入ると別世界で、カーペットが引いてあったり、まるで別荘のような内装でした」。

レコーディングは、知人に通訳してもらいつつ、ほぼお任せで行った。

「自分のオリジナル曲を2-3曲、ゆったりめのバラードも入れてもらいました。そのひとつが、単純でフォーキーな曲だったんですけど、不思議な仕上がりになりました」と星乃は振り返る。

「これを日本で録音すると、歌詞を印象付かせるために、質素な音になるんです。歌謡曲のような、アコースティック一本に歌が載ってるような、生々しいライブのような出来上がりになります。

でも、ウルセリ氏はリバーブ感や重ね方が独特で、『やっぱり日本の芸術っておさまってるんだな』と思いました。『アメリカは個性を出していくというか、もっと派手なんだな』『なるほど、これがお国柄か』とも」。

なかなか得難い経験といえる。

 

そんな星乃は、これまで4枚のオリジナルCDをリリースしている。

15年8月8日発売の『スクエア』は、ソロ活動を本格化させるにあたって、名刺代わりとして制作した。翌年同日には、もともと好きだった昭和歌謡やフォークソングを意識した『もゆる』を発売。さらに翌年の『Zange』は、当時の自信作を惜しみなく入れた、ベスト盤のような一枚になっている。

一方、18年発売の『十六夜』は、過去三作と比べて「ラフに作りました」と言う。

「年々、気持ちがラフになっているんですよね。自分がこまごまと考えて作っても、聴く人によって受け取り方は変わるなって実感して。だったらこだわりすぎず、ラフに作った方がいいんじゃない?という境地に至りつつあります」。

ラフな作品制作の一つとして、ライブ映像を収録したDVDを毎月発売中だ。「最近の時代の流れ的に、映像もいいなって。CDはやっぱり、ある程度は作り込みたいというのもあり、衝動的なものをDVDで出しています」。

18年は『オクラ』、19年は『林檎』、20年は『米』と、星にちなんだ食べ物をタイトルに冠している。

「こだわらないこともこだわり」と表現したくなる星乃の作品群は、ライブ会場やオンラインショップにて購入できる。

ぜひお手に取っていただきたい。

代表曲『夢見酒』とワンマンライブ

ライブではあまり演奏しない曲も含めると、150曲を超えるオリジナル曲を持つという星乃。代表曲の『夢見酒』は、16年1月、「毎月新曲を書いてYouTubeで公開する」という自主企画の最初に制作した曲だ。

「ライブで盛り上がる曲、なおかつ自分らしい曲がほしいと思って作りました。『こういう風に書こう』とか、時勢への配慮とか、そういうのを全部とっぱらって、頭をまっしろにして書きましたね」。

編者は、これほどカッコよく「もっとお酒をちょうだい」と叫ぶ歌を他に知らない。

ちなみに星乃はビール好きで、ここ3年ほど飲む量が増えてきたと言う。

 

この『夢見酒』は、星乃が『徳光和夫の名曲にっぽん』(BSテレビ東京)の新人枠にて取り上げられた際、演奏した曲でもある。

「高円寺で路上ライブをしていた時、たまたま構成作家さんが通りかかって、CDを買ってくださったんです。その場ではお話をしなかったんですが、後日、私のワンマンライブに来て『新人枠で出ませんか』と声をかけてくださいました」。

テレビのスタジオでの収録については、「あんなにカメラを向けられたのは初めてで、すごく緊張しました」。

今年もワンマンライブを企画しているという星乃。

「これまでには、赤坂グラフィティさんや目黒ライブステーションさんでワンマンをやってきました。今年は、最近ホームにしている浅草ゴールドサウンズでやりたいと思っています。新しいCDのレコ発にもしたいですね」と意気込む。

「去年はバンドでやりましたが、今年は原点に返って、弾き語り中心にやりたいです。もっとクリアに、シンプルにやってみようかな。ただ私の声質的なこともあって『バンドで聴きたい』と言ってくださるお客様もいるので、別の機会に企画したいとは思います」。

弾き語りとバンド、両方の星乃馨を楽しみたい。

Text:Momiji

 

INFORMATION

2020.4.24 (Fri) open 18:30 / start 19:00
Gold Sounds presents 『浅草 大人の金曜日』

[会場] 浅草Gold Sounds(台東区駒形1-3-8 B1)
[料金] 前売¥2,000 / 当日¥2,500 (各1drink別)
[出演] MIKKO&SHU/アンダーノースカウンシル/星乃馨/長谷川大輔
(THE☆☆☆長谷川大輔)/和也(amali)/陸王(Against 30 Miles)

2020.8.8 (Sat) 誕生日単独公演『曼珠沙華~風に笑う花の色よ~』
[会場] 浅草Gold Sounds(台東区駒形1-3-8 B1)

◎星乃馨公式ページ

https://kaoruhoshino.jimdofree.com