【SSW07:WORKS】自分自身や社会への怒り、悲しみを率直に歌い上げる

ギター弾き語りで演奏活動をしているシンガーソングライター、だいてぃー。彼のソウルフルで等身大な歌のバックボーンに迫った。

リアリティにこだわったオリジナル曲

だいてぃーが作詞作曲を始めたのは、2018年の後半のことだ。

「ドイツでの武者修行を終えて帰ってきて、『次はワンマンライブをやろう』と決めてからですね。それまでオリジナル曲を持っていなかったので、半年で15曲くらい作りました」。

ワンマンライブ後も曲を作り続け、現在は30曲ほどオリジナル曲がある。

「昔から自分が好きな曲、共感する曲って、怒りや悲しみについて歌っているものが多いんですよね」と彼は言う。

「一口に『怒り』と言いますが、たとえば社会問題に対して怒れる人って、めっちゃ優しい人だと思うんですよ。俺はもっと低レベルというか、身近なところというか。自分が体験して嫌だったこと、弱さに対しての問いかけ、怒りや、そこに潜む悲しみを歌うことに、僕の歌う意味があります」。

彼が紡ぎ出すアコースティックギターのシンプルかつ温かい音色と、リアリティを追求した歌詞には、強く胸を打たれるものがある。

 

メロディの作り方については、「OZROSAURUSというヒップホップバンドのバイブスに影響を受けてて、幾つかの要素を取り入れてます」。

ヒップホップでは、サビの部分を同じような内容で繰り返すところを『フック』と言う。だいてぃーの楽曲も、それを意識して作っているがゆえに、キャッチ―に仕上がっている。

そんな彼の代表曲は『Answer』。2015年、株式会社電通の社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が長時間労働などを苦に自殺した事件に着想を得て作った楽曲だ。

「過労の末に自ら死を選んでしまったっていう事結末が、自分はすごく悲しかったんです。でも、死ぬほど頑張らなきゃいけない場面って、それぞれあるよなとも思って。死んじゃいけないけど、そのくらい自分自身と向き合って挑戦していくマインドは捨てたくないな、という想いで作りました」。

ライブの最後に歌うことも多い、大切な曲だ。

今後も、楽曲制作に力を入れていきたいと語るだいてぃー。

「最近、『抗い』という曲を作りました。今回のコロナ禍のなかで考えた『もしも自分が音楽を辞めたら、その後の人生はどうなるか』を歌っています。新たなステップに進むために、重要な曲だと思うので、もっと煮詰めていきたいと思っています」。

 

「自分の曲を『創作物』にはしたくないんです」と言うだいてぃー。

その熱い思いが込められた歌を、ぜひ一度聴いてみてほしい。

自分の引き出しを増やし、もっと音楽に挑戦したい

20年3月から、ほぼ毎日YouTubeへ動画を投稿しているだいてぃー。内容は、オリジナル曲とカバー曲が半々といったところだ。

「僕は、走り出してから考えるタイプなんです。クレバーな人は、最初にビシッと計画を立てて、スマートでシャープな動画をポンと出せると思うんですけど、そういうのは向いてなくて。自分みたいなタイプは、これまでの人生もそうなんですけど、物事を熟考していると始められないんですよね」

nf91521cc8d1b_picture_pc_1486829fb69aa8613505293c1700b593 【SSW07:WORKS】自分自身や社会への怒り、悲しみを率直に歌い上げる

 

ほぼ見切り発車だったが、約二ヶ月間、毎日動画を投稿するという目標を達成した。

「自分のなかでは、路上ライブをやるのとあまり変わらない感覚でした。モチベーションを保つために、ルーティン化することに気をつけました」。

毎晩、20時ごろから録り始め、編集して、日付が変わる前にアップする。20本目の動画を投稿するころには、一連の流れが生活の一部となっており、心理的にも楽になったと言う。

現在は、『100本の動画投稿』を目指して動画制作を再開している。

「これから、歌なしで、ギターだけのインスト動画も作ろうと思います」。

取材時の言葉通り、彼は5月下旬から10回にわたってギター演奏のみの動画を投稿した。

以下、彼のTwitterから引用する。

「いつも歌うためにギターを弾いてる自分にとって、歌わずにギターを弾くこと、その中で表現することはとても難しい」「インスト曲やり始めて3日目にして課題に気づいたー!!!絶対歌ありじゃ気づかなかった点だわ!!!さっそく効果を感じている」「曲作りやライブのことを考えると、パターンというかバリエーション増やして音楽に挑戦したいし、もっと遊びたいなぁと思うところです」。

早速、多くの成果を得たようだ。

しかし、彼の本業はボーカルである。

「自分のギターの技術を高めるのは大事ですけど、一緒に音楽やれる演奏者がほしいですね。やっぱり、グルーヴが生まれる瞬間って、人と音を合わせるときだと思うので。バンドやユニットを組みたいです」

 

ユニットの相方の理想像は?と訊ねると、彼はにやりとした。「バイブスがめちゃめちゃ高くて、一緒に盛り上がれる人か、逆に物凄く静かな人。名前を出すのも恐れ多いですが、B’zみたいなユニットが組めたらいいなぁ」。

だいてぃーの音楽や考え方に共鳴する人、「もっと音楽に挑戦したい」と考えている人は、彼に連絡をとってみてはいかがだろうか。

text:Tsubasa Suzuki edit:Momiji

INFORMATION

YouTubeチャンネルにて、オリジナル曲やカバー動画を多数公開中。最新情報はTwitterにてご確認ください。

https://www.youtube.com/channel/UCp5eZN4CcOSAHGQg6wdnWPg/featured