【SSW13:WORKS】パンクのスピリッツとロックのテクニックを兼ね備えた、比類のないピアノ弾き語り

シンガーソングライター、歌手、ピアニスト、ギタリストなど、様々な肩書で活躍しているアーティスト・かずお爆弾。彼の根本にある思想と、代表曲などについて訊いた。

「日々の怒り」を原点にした曲作り

ソロ転向以降、これまでに50曲ほどのオリジナル曲を作ってきた、かずお爆弾。代表曲は『中二病と切り捨てられる世の中じゃ』だ。

「『中二病』って、とてもズルい言葉だと思います。誰にでも使えるし、これを言われると何もできなくなってしまいます。私自身、この言葉を使われてカチンと来たことが何度もあります。それらへの怒りをこめた、なかば自伝的な楽曲です」。

制作にあたっては、「メロディがいきなり降ってきました」と語る。「友人と世間話をしていたとき、急に思い浮かんで、慌てて録音したところから膨らませました。ラッキーなケースでしたね」。

 

普段は、ピアノやギターを弾いたり、鼻歌を歌ったりしながらメロディを考えている。

「無理に作ろうとするとシャバい曲になるので、自然なインスピレーションを大事にしています。特に、寝起きでぼんやりしているときは、いいアイディアが浮かびますね。夢の中で聞いた曲を、起きた瞬間、すかさずメモることもあります」。

18年にピアノ弾き語りへ転身してから、21年8月現在までに、3枚のCDをリリース。演奏からマスタリングまで、かずお爆弾ひとりで行っている。

「DTMをはじめたのは、16年の夏くらいからです。当時所属していたバンドがギスギスしだしたので、もし脱退しても一人でやれるように、保険として勉強していました」。

n29b817786b71_picture_pc_2117650f66676c0d0a04d9b78eba959c 【SSW13:WORKS】パンクのスピリッツとロックのテクニックを兼ね備えた、比類のないピアノ弾き語り

 

ライブのMCで韮のメンバーを紹介するかずお爆弾

楽曲をアレンジする際は、直感的に「この曲はメタルだな」「フォークだな」と決め、内容に合う楽器を選んでいる。

現在はボイストレーニングに通い、歌唱力の向上を目指しているところだ。

「弾き語りを始めてから、『俺は歌が下手だな』と痛感しました。バンドをやっているときは、ぎゃあぎゃあ叫んでる曲が多かったので、気づけなかったんですよね」。

余裕ができたら、DTMやレコーディング技術も学びたいと言う。

彼の飽くなき向上心がどこへ辿り着くのか、興味深い。

風変わりな経歴から磨かれた音楽性と発想力

現在はライブ活動の他に、YouTubeへの動画投稿にも積極的に取り組んでいる。「自分のオリジナル曲はもちろん、趣味のツーリング動画や、ストリートピアノで演奏した映像も上げています」。

ストリートピアノでは、有名な楽曲をアレンジし、メドレーとして演奏することが多い。「椎名林檎の『丸の内サディスティック』とか、『ルパン三世のテーマ』とか。ストリートでの演奏は学ぶことが多かったし、私を知ってくれる人を増やすことにも繋がりました。レパートリーが増えたら、また弾きに行きたいと思います」。

 

誰もが知っている曲も、かずお爆弾の手にかかれば、どこか新しい響きの演奏になる。それは、彼のルーツによるところも大きい。「実は、ハードロックとパンクを両方通った人間は、少ないんですよ」と、彼は語る。

「パンクが好きな人の多くは、セックス・ピストルズやラモーンズの系譜に属します。誤解を恐れずに言えば、理論やテクニックを軽視してしまう人が多いんですよね。逆に、メタルやハードロックが好きな人は、内向きな人が多い気がします。人前で演奏したがらない人も多いです」。

その両方を持ち合わせ、かつ、クラシックピアノを習った経験もあるかずお爆弾は、異色の存在といえる。

「まだ技術は磨いている途中ですし、メタルをきわめた人には到底勝てません。でも、同じような経歴の人間は滅多にいないので、そういう意味で、自分は唯一無二だと思っています」。

世界には素晴らしい音楽があふれているが、しばしば物足りなさを感じている。「たとえば『80年代のピカピカしたサウンドとメタリックなギターが融合した曲を聴きたい』と思っても、意外とないんですよね。『ジャズっぽいピアノ弾き語り』もそうです。『あれも聞きたい、これも聞きたい、でも存在しない、なら俺がやるぜ』って感じです」。

スケールの大きな話だ。

これに限らず、彼は、しばしば大言壮語を吐く。「紅白歌合戦がワシに出演オファーしない以上、NHKは受信料を滞納されて当然である」、「ワシが出演しない時点でROCK IN JAPANの中止は決まっていたようなものだ」、「Mr.Childrenにワシが加入すれば、もっとよくなる」など。

 

いずれも、純粋に本気の発言だ。

「シンガーソングライターはみんな、曲作りに一番自信があると思います。発想力と言いかえてもいいですね。自分でないと作れないメロディ、書けない歌詞、何でもいいけど『これだけは誰にも負けない』というのがあるはずです。それがひとつでもあるなら『ミスチルに足りないのは俺だ』って主張する権利は誰にでもある。私はそう思っています」。

過激で混沌としているように見せながら、誰よりも真摯に『アーティスト』であり続けようとしているかずお爆弾の行く末を、見守りたい

text:Momiji photo:arachan RED ZONE

 

INFORMATION

2021.11.02(Tue) open 19:00 / Start 19:30
[会場] 高円寺ウーハ(杉並区高円寺南4-4-12 エムズビル101)
[料金] ¥2500(+1drink ¥500)
[出演] かずお爆弾(1番目 19:30-20:00) / 斉藤めい / 松浦湊

2021.11.06(Sat) 第11回 すみだジャズストリートフェスティバル
[会場] アルカイースト JR北口前
[詳細] Coming soon…  ※2021年は開催中止が発表されました

◎かずお爆弾公式ページ

http://kazuo.xxxxxxxx.jp/