関東を中心に活動しているギター弾き語りシンガーソングライター、こばやしゆうと。彼の曲作りへのこだわり、代表曲『rainy』の誕生秘話、これから予定しているイベントの内容などを聞いた。
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1st EP『ギター1本、ヒト1人』と、代表曲について
こばやしゆうとは、曲作りの際、物語やコンセプトの設定にこだわっている。「歌詞の一人称が『僕』なら、どんな男なのか、性格や趣味まで考えます。プロットをまとめてから、細かい内容を膨らませるんです。自分のことを歌うときは、できるだけストレートに伝わる言葉を選んでいます」。
そんな彼の代表曲の一つが、『rainy』。実体験を元にした、切ない片思いを綴った歌詞と、美しいギターの音色が印象的な一曲だ。
「本格的に音楽活動を始める前、趣味として、ただ楽しくギターを弾いてた時期に作りました。ライブハウスで見かけた演者さんのリフを真似しながら、自分なりに映える弾き方を試していたときに、『雨の音がする』って思って、書いた曲です」。
2023年2月24日には、『rainy』をはじめ、自身の名刺代わりとなる楽曲を収録した1st EP『ギター1本、ヒト1人』をリリースした。
「『ギターを叩きながらの弾き語りで、ここまでできる』ということを形にしたかったんです。22年の夏から構想を練って、10月下旬からレコーディングを行いました」。
配信盤での4曲に加え、ライブ会場等で販売しているCDには、ボーナストラックを含めた合計8曲を収録している。
「自分のお客さんは配信で聴いてくれる方が多くて、CDは、ライブの記念品として買っていただく場合がほとんどです。せっかくなので、会場限定特典として、テイストやニュアンスの違う曲も聴いてもらえたらいいなと思いました」。
レコーディング中に完成した楽曲もある。
「CDだけに収録している『透明なブラインド』は、3年ほど前から温めていた曲です。『見えないものが見えるものを作っている』ということを表現したかったんですが、うまく歌詞に落とし込めずにいました。今回の制作中に、気に入ったコードをループして弾いてたら、『あの曲に使えるかも』と閃いたんです。一気に歌詞も書けました」。
透明人間の男の子と、目が見えない女の子の恋愛模様を綴った楽曲には、「誰からも見えないから、何も見えないからこそ、ふたりだからこそ通じ合える関係があるんじゃないか」という問いかけが込められている。
23年下半期からは、新しいデモ音源を制作する予定だ。
「コンセプトは『小さな部屋の片隅から』です。家で、スマホで録音して、自分でミックスやマスタリングをすることで、技術を磨きたいです。他のアーティストにも参加してもらって、いつか、コンピレーションアルバムを作りたいですね」。
いったいどんな作品を届けてくれるのか、期待したい。
『ワンマンへの道』について
2023年5月現在、『ワンマンへの道』と題して、3つの企画ライブの準備を進めている、こばやしゆうと。「何かを作るのが好きなんですよね。曲やCDはもちろん、イベントの企画も。やりたいことが、めちゃくちゃあります」。
『ワンマンへの道』前編として、6月10日に真昼の月 夜の太陽で開催する『指板と鍵盤』。文字通り、ギターとピアノの弾き語りシンガーソングライターを集めたイベントだ。
「このイベントを思いついたきっかけは、鴨志田喜久さんと、日菜さんっていう、ピアノとギターを両方弾ける方々と出会ったことです。彼らを軸に、出演者を集めました」。
こばやし自身がギター弾き語りの代表枠を務める一方で、「ピアノ弾き語りの代表枠は苦労しました」と語る。
「1月から2月は、あちこち駆けずりまわって、イメージに合う方を探しました。下北沢DY CUBEさんに、一週間、ほぼ毎日入り浸ったりしました」。
中編として、9月2日に下北沢DY CUBEで開催するイベント名は、『音の幻像』だ。
「僕は、音の色や形が見えます。ただ、基準は分かりませんが、レベルが高い人じゃないと明確には感じとれません。そんな自分が、『これは』と思った人だけを集めました。中編だけど、一番ヤバいイベントかもしれません」。
後編の『HallReverb vol.2』は、昨年と同じく渋谷gee-ge.で、11月25日に開催する。
「去年は、結局、87人しか集められませんでした。だから今年は100名の集客のリベンジをします。でも、はたから見たら13人しか変わらないので、前編から後編までトータルで200人呼ぶ、っていう目標を追加しました」。
目標を達成した場合は、満を持して、自身初となるワンマンライブを開催。達成できなかった場合は、これまでの出演者を集めたブッキングライブを行って収益を還元し、自らはオープニングアクトを務める。
既に来年以降の計画も進めていると語る、こばやしゆうと劇場の今後が楽しみだ。
text:momiji
INFORMATION
1st EP『ギター1本、ヒト1人』、ライブ会場でCD盤を販売、および各種ストリーミングサイトにて配信中!

